子どもの歯

子どもの歯(乳歯)歯、形、数、色等の違いはありますが、本質的には大人の歯(永久歯)と変わりません。

大きく異なる点は大人の口の中が成長が止まり、ある程度安定した状態であるのに対し、子どもの場合は成長発育している動的過程にあるということです。

つまり、大人と同じようにむし歯があればその治療をするのは当然ですが、それ以外に口の中全体がその後正常な発育を遂げるよう観察指導する必要があるのです。

それには歯科医任せではなく、お父さん、お母さんに子どもの歯について感心を持ち、理解を深めていただくことが不可欠です。

右図は虫歯のできる下人を示したものです。3つの円が重なった部分(黒い部分)で虫歯ができます。2つの要素(斜線部分)ではむし歯はできません。食物については甘いものに限らず、体に栄養となるものなら何でもと考えてよいと思います。

さらにもう1つ重要な要素として「時間」があります。

食物が歯についている時間が長い方がむし歯になる確率が高くなります。おやつや食事の「ながら食べ」は歯のためによくありません。むし歯にしないための重要なポイントの一つはブラッシングです。お父さんお母さんには子どもが磨いていることと磨けていることとは違うという点を認識していただきたいのです。上手に磨けるようになる小学校高学年くらいまでは、折に触れ口の中をチェックし必要ならば仕上げ磨きをしてあげてください。その際の確認部位は次の3つの箇所です。

  1. 歯と歯肉の境目付近
  2. 歯と歯の間
  3. かみ合わせの溝

1と2は歯ブラシをきちんとそれぞれの場所に当てて磨けばきれいになりますが、2は糸ようじ(デンタルフロス)を使ってきれいにします。

また、もう1つの重要なポイントとしてむし歯の予防処置があげられます。

予防処置にはフッ素を定期的に歯科医院で塗ったり、フッ素入りの歯磨き剤や洗口剤をしようする方法とシーラントと呼ばれるかみ合わせの溝に充填剤を施す方法があります。

むし歯を作ってしまったときに早期に治療を受けるのはもちろん大切なことですが、できればそうならないよう保護者が子どもの口の中の状態に気を配り、歯科医と ともに全身的な健全な発育をフォローしていくことがより大切ではないでしょうか。

子どもの歯は抜け替わりますが、それまでのブラッシングの癖などはそのまま永久歯に変わっても残ります。子どもの歯の時代こそ、それ以降の虫歯や歯周病に大きく関わってくる時代と考え、抜け替わるからとおざなりにせず、しっかりと管理するよう心がけたいものです