骨粗鬆症薬で顎骨壊死

骨粗鬆症の代表的な治療薬 「ビスフォスフォネート (BP) 製剤」 を使っている人で歯科治療後にあごの骨が壊死するなど副作用に見舞われている人が全国で少なくとも30人に上ることが日本口腔外科学会の調べでわかりました。薬と抜歯などの治療後の細菌感染が重なったのが原因とみられます。
国内では高齢の女性を中心に骨粗鬆症患者は約1,000万人と推定され、100万人がBPを服用しているといわれています。厚生労働省は、BP使用によるあごの骨の壊死に関連する副作用の診断基準などを掲載した重篤副作用疾患別対応マニュアルを早急にまとめ、患者や医師に注意喚起する方針です。
BPは、骨の代謝を抑える作用があるほか、ガンの骨転移による骨壊死を防ぐ働きもあります。
同学会では全国の主な歯科治療施設 239か所を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、30人があごの骨が腐る、骨髄炎などの重い 「副作用」 を起こしていたことが判明。女性が26人と大半を占めました。乳がんなどの一環として注射を受けている人が25人と多く、骨粗鬆症のために錠剤を飲んでいる人は5人でした。
副作用が出たのは、抜歯後が16人と最も多く、インプラントや義歯装着でも発症。歯周病などの口腔内に問題があって発症したケースも5人いたそうです。
同学会理事長は 「BPを使っている患者は、歯科治療の際に必ずその旨を歯科医に伝え、BPを処方する医師も副作用について十分説明することが重要だ」 と話しています。

出展:読売新聞 2008年1月4日朝刊 37面

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