酸蝕歯ってなんだ?

<酸蝕歯とは>
 Tooth wear と称される、う蝕原因菌が関与しない歯質表面の損失は、生活習慣に大きく影響される多因子性疾患であり、咬耗(歯と歯の接触によるすり減り)・磨耗(歯以外の物理的な方法・手段によるすり減り)・酸蝕(細菌の関与がない酸による化学的な歯質の溶解)が属します。このうち、生活習慣が一番反映されるのは酸蝕です。
 近年、わが国における食生活習慣に変化が認められ、市販飲料の中にはエナメル質が溶け出す臨界pH5.5を下回る数値を示すものが多くあり、酸蝕歯は見逃すことができない問題となってきました。
<原因>
 酸蝕歯の原因には、内因性(胃酸の関与など)と外因性(飲食物、薬剤、環境・職業因子に由来する酸の関与)がありますが、現在では生活習慣に伴う飲食物からの外因性因子が主流です。
<症状>
主な症状は
①冷たいものを飲んだり食べた時に歯がしみる。
②歯のエナメル質が変化して先端部の透明度が増す。
③エナメル質が溶けて象牙質が露出し歯の色が黄ばむ。
④歯が欠けて食べ物がつまる。
などが挙げられます。
<酸蝕歯予防>
 酸蝕歯予防では、多方面からのアプローチが必要となります。
具体的には
①食生活習慣の見直し。
②酸性飲食物を摂取直後の歯磨きをさける(酸性飲食物摂取直後はエナメル質表層が軟化している可能性がある)。
③適切な歯ブラシならびに歯磨き粉の選択(硬い毛質の歯ブラシおよび粗い研磨材配合歯磨き剤は要注意)。
④中性飲料の併用(酸性飲食物摂取後中性飲料で口をすすぐ)。
⑤デンタルガムの活用(フッ素・カルシウム配合ガムの登場・即時的な口腔内酸化環境の改善と高い再石灰化効果が望める)。
などが挙げられます。
<まとめ>
 黒酢原液(pH2.7)を長年にわたり毎日朝晩飲み続け歯が溶けてしまった症例など、酸蝕歯の特徴として、身体によいと思っていた食生活習慣が、実は歯に悪かったという事態に多くの酸蝕歯の方が驚く様ですが、この傾向こそが、酸蝕歯が生活習慣病であることを如実に示しています。

 気になる方はかかりつけの歯医者さんに相談してみては如何ですか・・・。

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